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遺言による争いを防ぐために

現有財産と相続する権利がある人を把握したい

 遺言を書類の形で残さなかった場合、残された家族は、故人の意思を遺産の分け方などに反映させることができないため、「法定相続」か「分割協議による相続」か、判断することになりますが、その際に争いを生じさせることも考えられますし、表立った争いがみられなかったとしても円滑な相続手続に影響が出ないとも限りません。
 遺言は故人の最後の意思表示であるため、法定相続分に優先することとなっています(民法第902条)。遺言は、書類の形で残すことで、争いを防いだり、相続手続を円滑に行ったりすることができる大切な手立てといえます。

遺言書の種類

公正証書遺言書

 遺言者自身が、原則として、証人2 人以上(実務上は証人2人)とともに公証役場に出かけ(士業に依頼している場合は、士業が事前に公証役場に遺言書の原案を届けています。)、公証人に遺言内容を口述し、その内容を公証人が遺言書に記載します。
 遺言者が士業に遺言書の作成支援を依頼する場合、遺言書の原案は、形式に不備等がないよう慎重に作成しますので、遺言者は法律に基づく有効な遺言をすることができますし、公正証書遺言書の原本は、公証役場にて保管されるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがありません。
 また、自筆の遺言書の場合、遺言書の保管者やこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません(自筆の遺言書が、確かに遺言者の筆跡であるかどうかなどを確認していただくためです。)。そしてなにより、発見してもらえないおそれもあります。

自筆証書遺言書

 自筆証書遺言書は、遺言者が、日付、氏名、財産の分割内容など等全文を自書(自ら書くこと。)し、押印して作成します(民法第968条第1項)。
 公正証書遺言書と異なり、自筆証書遺言書は、遺言書の保管者やこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」を請求することになります(民法第1004条)。
 このほか、自筆の遺言書は、文意不明、形式不備等により無効となること、遺言の紛失・隠匿・偽造のおそれもあることなど、手軽に作成でき、費用が掛からない反面、デメリットも多い遺言の方法といえます。

秘密証書遺言書

 秘密証書遺言は、
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一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
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が必要です(民法第970条)。遺言の内容は遺言者本人しか知らない遺言の方式です。自筆でも、パソコン等により文章を作成しても、第三者が筆記してもかまいません。
 秘密証書遺言書は、遺言者本人が保管することになります。家庭裁判所の「検認」が必要なこと(民法第1004条)は、自筆証書遺言書と同じです。遺言の内容は遺言者本人しか知らないので、文意不明、形式不備等により無効となるおそれもあります。

アクセス

  • 所在地 東京都葛飾区東金町6丁目13-26
  • 金町(東京都)駅北出口から徒歩約10分